同じ能力でも、土俵を変えれば楽して勝てる

「どの分野でも、トップクラスならポストに就ける」

ということは事実であるが、上位1%が就職できる分野と、上位99%が就職できる分野とでは、まったく難易度が違う。

前者は生命科学研究者であり、後者は臨床医である。

私が関わっていた有機合成化学は、企業研究者ポストに就ける人は、トップ30%くらいだった。困難ではないが、楽でもない。また、身分的に不安定で、一生続けることも難しい。

理工系でも、情報電気機械系は最高で、化学はソコソコで、生命科学系はどん底なのだが、このことを入学前に知ることはできない。学部3年生くらいで、就職状況を知って、取り返しがつかなくなっているのだ。

大学関係者なら誰でも知っている、専攻別の就職事情を、高校生に教えられる人は、進路指導教諭でもいないだろう。

私が高校生だった30年前と今とで、進路指導の水準は、大して進歩がないようである。