異常な医学部ブームの罠…6年大学通った末に低収入&激務、儲けるのは困難 | ビジネスジャーナル
富家孝/医師、ラ・クイリマ代表取締役
というわけで、私は優秀な学生はなるべく医学部に行くべきでないと考えている。偏差値だけで進路を決めると取り返しがつかない。なにしろ医者になるには6年間かかる。後戻りは難しい。
医学部人気の煽りを受けて、理工系学部に優秀な人材が入らなくなっているという。その結果、日本の「ものづくり」が人材不足で衰退してしまうのではないかと言われ出した。
東大理1から大学院に進んで修士卒だと医学部と同じでやっぱり6年かかる。こちらも後戻りは難しい。
日本の将来は政府が考えるべきことで、個別の受験生や親はどうでもいい。日本の将来のために自分が犠牲になる義理はない。
私は優秀な学生に東大理1を勧める気にはなれない。成功した人ですら、年収700万円くらいにしかならないから。「超優秀」なら進学してもいいという程度の選択だ。
「今はいいが今後は」というのも、70年代からずっと言われている話です。未来を予測できるんだったら、誰もが投資では成功する。バフェットもびっくりだ。
今後20年くらいは医師で安泰だと思うんだったら、その進路を選んで何ら問題ない。20年で回収できるからだ。私はすでに回収した。
そもそも、東大理1とか京大理学部に優秀な人材が集まっていた時代の方がよほど異常だった。リターンが高かったわけではない。
かつては、日本の製造業が右肩上がりで伸びると考えられていて、それに期待した部分が大きかったのだと思う。それが無残にも壊滅状態になったので、入試難易度もようやく社会の実態に対応したということだ。