老後は長く、年金は少ない。だから、老後資金を現役時代に貯めねば、悲惨な老後が待っている。
一般論としては正しいのだが、「だから投資」「だから持ち家」とかいう話に持ち込む議論が多い。
どちらも間違い。
低金利環境で投資をしても、期待収益は極めて少ない。1億円を変動金利10年個人向け国債に回しても、得られる収益は年間5万円です。アクティブ投資をしても、インサイダー情報なしにやったら、ボラティリティが大きくなるだけです。
持ち家は家族構成やキャリアに合わせて買えばよく、独身だったり転職可能性を残したい人にとっては、人生のオプションを減らしてしまう悪手です。
次の3点をまず決定する。
- 自分の予測健康寿命、アクティブに活動したい年齢
- 月額生活費(家賃込)
- 年金金額
重要なのは1です。これを予測できないから、無闇に必要金額が大きくなるんですが、
介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
こういう資料みると、よくもって80歳くらいじゃないでしょうか。80歳ですでに40%が死んでいて、残りの25%が要介護なので、健常者は45%しかいない。
つまり、65歳引退、年金受給開始から、要介護になるまでの「死の谷」は15年くらいです。15年間、家計が持続すればそれでよく、あとは生活保護でかまわない。
厚生年金受給額は15万円くらいで、月間必要生活費は、余裕をもって25万円とすると、不足分は月10万円。
よって、老後資金は、1800万円。
意外に安い。
賃貸を新たに借りれないなら、家を一括支払いで買えばよい。
中古分譲マンションは、古くてよければ500万円です。管理費と修繕積立金が別に2万円程度かかりますが、それを入れても、15年間暮らして、実質的な月額家賃は5万円。5 万円より高い家賃を払っている人は、500万円のマンションを買った方がいい。
このくらい安いと、持ち家のままで生活保護が受けられますから、老後資金が尽きても大丈夫。