科学者や技術者は、世界中どこにでも行かねばならない

1990年ごろ、自分は、科学者とは、単に学校に通うと自動的になれるものだと安易に考えていた。
現実はそうではなかった。
本人の能力しだいということでもない。
たまたま、専攻分野の需要があるかどうかで、ポストのあるなしが決まるのだ。
これはなかなか恐ろしいことだ。
たとえば、日本で半導体産業が成長したら、半導体関連技術者は大量に雇用されて、それなりに働くことができる。
ところが、半導体産業全体は成長していても、中韓台に押されて、日本企業が衰退することがある。
この場合は、中韓台の半導体企業に雇用されなければ、専門性を生かすことはできない。
必要ならば、日本中どこにでも行く気がある自分ですら、海外就職までは考慮していなかった。
国公立医学部に進学をすると、僻地に閉じ込められるのが嫌だという人が多いせいで、都市部の理系大学、たとえば、東大京大理系の人気が高いのだが、後者を選択しても、結局は、海外就職か、国内でどうということのない非専門的な仕事に就くか、どちらかになってしまう可能性が高い。