2017年に亡くなった作家、佐藤大輔氏は、小説「地球連邦の興亡」の序文において、かつて空想していた「21世紀社会」と現実との差異について、こう書いている。
以下(要約)
「2001年の年明けと同時に、世界は変貌し、くだらない戦争や疫病や貧困は消滅する。わたしたちはあくせく働くこともなくなる。遊んで暮らせる世の中がくる。しかし、宇宙からの侵略者が現れたら、地球防衛軍の一員となり、銀色のタイトスーツを着て、超光速宇宙船に乗り、超兵器を使用して敵と戦う」
「そんな幻想は、1980年ですら、古臭くて、ありえないとわかってはいた。現実に来る未来社会は、現在と連続的で大差ないものになる。現実を受け入れ、折り合いをつけていくしかない。日本人である自分は、世界の大半の地域の人々よりは、快適な社会で、気楽に暮らせるのだから」
「それでもなお、空想する権利はある」
しかしながら、実際にやってきた21世紀社会(もう20年も経過した)は、佐藤大輔が渋々受け入れていた社会「よりも悪い」ものになってしまった。
現在、変異コロナウイルスが、日常生活を脅かしている。
変異コロナウイルスは、『復活の日』に登場した生物兵器"MM88"と違って、人類を滅亡させるようなインパクトはないだが、世界経済を大幅に縮小させるだろう。貧困は健康状態を悪化させる。ウイルスよりも、貧困の方がよほど恐ろしい。