私は、かつて科学者になろうとして、メンタルが持たなくて逃げたんですが、今になって、わかるのは、科学者になるために必要なことは、損得勘定の放棄だということです。
自分の今やっている学習や研究が、その後、何につながるかは明確ではない。学問的業績があってもポストがあるとは限らない。そんな環境で、18歳から27歳ぐらいまで生活しなきゃならない。
アスリートやアーティストになる場合でも同様なんだけれど、彼らは、まだ、リスキーな選択だということは十分にわかっていて、なおも選択している。
ところが、科学者コースは、それまでリスク回避的な生き方をしてきた人が、大学入学以後にリスキーな進路選択をするので、そこでネジレが生じる。
ずっとリスクオフの人生を送ってきた人が、リスクオンの状態で9年も過ごせるのかどうかってことです。
私は無理だった。
