無線やコンピュータや登山や漫画やアニメなどの分野では、昔から、ファンが集って同人誌を作って出版したり、この駄目サークルみたいにただ雑談をするだけだったりするようなことがあった。
当人たちが楽しくやっているんだから、誰も文句は言えない。
しかし、大学で、こういう活動に参加してみて、自分はファン活動を欲していないことに気づいた。
不安で仕方がなかった。
時間がもったいなかった。
自分自身のキャリア確立の準備のための時間は、いくら使っても足りないように思えた。
こんなサークルみたいなことをだらだらとやっている気分になれなかった。
私の悩みは、要約すると、「将来食べていけるか不安」というものだった。
Amazonで売られているこの本に、悩みの答えが書いてあった。
アリストテレスは、自分の外の目的のための活動を「キーネーシス」、自分自身の楽しみのための活動を「エネルゲイア」と呼ぶ。
キーネーシス的な活動では、自分の楽しみではない別のことをしている分だけ、かえって成績が落ちることがある。
エネルゲイア的な活動こそが、自分の力を最大限に発揮させ、将来をより良くしていくのだとアリストテレスは言う。
しかし、「まんが極道」において登場する「駄目サークル」のメンバーは、ことごとく、「老後編」において、みじめな老後をすごすことになっている。成功したのは、創作同人誌でまじめに自分の作品を書いていた箕丈ヨブコだけだった。
しかし、漫画では敗者として書かれた駄目サークルメンバーも、楽しく人生を送ったのだから、大して後悔はないはずである。
そもそも、老後はすべて惨めなのだ。
老後のために、若いときの時間を費やすなんて、まったく愚かな行為だ。