太平洋戦争の歴史改変小説を30年も書き続けている大御所、横山信義氏の最新作が完結しました。
青葉型、古鷹型重巡洋艦は、軍縮条約の制限の下で作られた軍艦です。
建造直後は、
「これだけ小さい船に、これだけ多くの兵装を載せたのはすごい」
という評価はされましたが、実戦では大して活躍しませんでした。
「槍騎兵」は、青葉古鷹型の兵装を長10サンチ砲に交換し、防空艦にして、日本軍の防空力を強化するとともに、敵駆逐艦を高角砲の速射で制圧する役割も持たせるという趣向です。
戦艦の巨砲を打ちたかった士官が、心ならずも防空艦の高角砲の指揮をとって活躍したり、鹵獲戦艦リパルスが防空艦として活用されるなど、「防空」をテーマとしたシリーズになりました。
だから、最終巻のクライマックスも、エノラゲイ迎撃、原爆投下阻止となりました。
これは感動的で、とても良かったのですが、終戦処理に疑問が残る。
「市街地に原爆投下するつもりだったことがバレたら、米国にとっては大変な汚名となってしまってまずい」
ことが、米国が終戦に同意する理由となっているのですが、これでは話のスジが通らない。
本来の作戦では、米国は世田谷上空に原爆を投下して東京を壊滅させ、戦争を終らせるつもりだったのだから。
東京原爆投下未遂が暴露されたらまずいならば、原爆投下に成功したら、もっとまずいことになったでしょう。