賭博黙示録カイジの重要キャラで、闇賭博場の支配人をやっている一条聖也の下積みの日々を描くスピンオフ作品「イチジョウ」。
立身出世する気は満々なのだが、やってることがちぐはぐで、空回りする様子がギャグになっている。
「高校の同級生たちのように、地元で大学に行かずに、上京し、同郷の友人とルームシェアしてファミレス店員をする」
ことがどうして「出し抜いてる」んだか全くわからないのだが、大学に行ってる人たちも大した考えはないんだから仕方がない。
一条を笑うことはできない。
「上京するだけで出世できる」という思想は明治時代からある。都会に出たらチャンスがあって、クラスアップできると思ってるわけだ。
この本に、明治時代の若者たちが、ただ上京するだけでどうにかなるだろうと思って行動し、その大半が無残に失敗したことが書いてある。
しかし、そうした無謀な若者の行動が、都会の経済成長を支えたこともまた事実だったから、彼らの青春が無駄になったのではない。社会発展の礎になったのだ。
俺はそんなの嫌だけどね。