大友克洋「童夢」が絶版になっている!

 大友克洋は、日本マンガ界における重要人物であり、この人を抜かしたら、マンガ史は書けない。

大友の代表作を1冊だけ挙げるならば、「童夢」なのだが、信じられないことに、この名作が絶版になっているらしい。重版は2007年が最後だった。

信販売市場には古書が大量にあるので、送料込み3000円も払えば手に入るのだが、これだけ値上がりしても重版されないという事実が信じがたい。

 悔しいので、「童夢」の批評をしてみたい。

童夢 (漫画) - Wikipedia

ここに概要は書いてある。

童夢」のエポックメイキングだった点は、「見えないチカラ」を絵に描いたことだ。

超能力とか念力とかいう概念は昔からあったが、重力と同様の遠隔作用だから絵にできない。

大友克洋は、目に見えない力を、周囲の物体の破壊や歪み、力を受けた人物の反応を描くことで、目に見える形で描くことに成功した。

「壁ズン」と言われる下のコマがそれだ。

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大友克洋童夢

「壁ズン」は、多くのフォロワーを産み、すでに日本マンガにおける記号として定着しているので、今の読者がこれを見ても、何が新しいのかわからないだろう。