乳腺外科医による強制わいせつ事件の公判が行われている。
この事件は、状況証拠的にはありえない。
乳がん手術を行った患者に対して、担当医が術後の診察をするために回復室に入って、そこで手術していない方の乳房を舐めて、オナニーをした
という話だからだ。
検察側は、患者乳房表面から唾液アミラーゼと乳腺外科医のDNAが検出されたことが証拠だと主張している。
弁護側は、素手で触診したり、唾液が空中を飛んでも、DNAは付着するし、アミラーゼは乳腺外科医のものとは特定できないと反論している。再現実験もしている。
法医学的にどちらが正しいのかはわからないのだが、異様なのはそこではない。
私は、この事件は、回復室の監視ビデオに決定的な画像が残っていて、それが証拠になったんだろうと思っていた。ところが、そんなものはなかったのだ。
この程度の事件で、いちいち病院に警察が入ってきて捜査されるんだったら、安心して仕事ができない。
医療者の身を護るために、監視ビデオカメラを設置すべきだ。
ITデバイスの進歩のため、ほとんどコストはかからない。自動車用のドライブレコーダーを設置するだけでいい。デバイス価格は5万円、ランニングコストはわずかな電気代だけである。