ワクチン集団接種中止の経緯

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/219/054219_hanrei.pdf

民集 第30巻8号816頁

最高裁 昭和51年9月30日

40年前は、予防接種といえば、学校の体育館で生徒を並べて、流れ作業でやるものだった。

それが全面的に中止されて、診療所や病院まで子どもを連れて行って、個別に接種するようになったのは、一連の予防接種訴訟の結論に対応したからである。

どんな医療行為も大量に行えば、一定確率で事故が発生する。その中には、過失を特定できない事例がある。

民事賠償の根拠法、民法709条は、「故意または過失」による損害を賠償するとなっており、過失が認定できないと賠償を命じることができない。

国賠訴訟の判例は、この問題を「集団接種では、患者を個別に診察しなかったので副反応がおきた」ということにした。だから、集団が禁止されて個別になったのだが、個別診察なんて、今も行われていない。予診票をチェックして顔を見るだけである。

集団から個別に移行して変わったことは特になくて、手間が増えただけである。接種率が低下して、感染症の流行が増えた。

無過失賠償を行うべきだろう。自動車賠償責任保険と同様である。過失が証明できなくても、因果関係があれば賠償が行われる。