「婚約者ですね?」

家族向け賃貸を借りると、居住者を申込書に書く。

その場合、戸籍上は家族じゃない、ただの同居人ということがある。

男女の場合が多いが、同性ということもある。

それでかまわないと思うのだが、不動産仲介業者は、しつこく聞いてくる。

「婚約者ですね?」

「いや違います」

「内縁関係ですか?」

「そうでもないです」

「友人とのシェアハウスですか?」

「違います。家賃はシェアしていない」

というようなことがあるわけである。

業者も意地悪をしているのではない。賃貸不動産の書面に記載する同居人のカテゴリは、「家族」と「シェアハウス」しかないらしい。

仲介業者を困らせても事態は改善されないので、家族向け賃貸を個人で借りることにすればいい。実際に誰が住んでいるかは監視されないから、特に何の問題もない。

 「借り主とは違う人が出入りしている」

と近隣住民から告げ口されても、家主にも近隣住民にも、具体的かつ重大な損害がないなら、賃貸契約は解除されない。