小田嶋隆氏のエッセイで、こういう話があった。
かつて出入りしていた雑誌編集部では、編集者たちは読者アンケートをよく読み、それに沿った記事づくりをしていた。
しかし、読者の言うとおりに雑誌を作っても、販売部数は増えなかった。
むしろ、マニアックで偏った雑誌になって、読者の支持を失い、販売部数はガタ落ちになったのだ。
アンケートに回答したり、手紙を送ってくる読者は、たしかに熱心な読者ではあるが、大半の読者は何も言わないのである。そして、後者こそが、販売部数を支えていたのだ。
「尖った意見」にいちいち反応しても、決して顧客満足度は高くならないことを、このケースは示している。サンプリングがランダムでないからだ。