使用者が敏感なクレーム、鈍感なクレーム

BtoC(一般消費者向けの商売)をしていると、常に顧客からクレームがくる。

単なる質問から、深刻な抗議までいろいろあるのだが、名指しされた従業員は悲惨なことになる。

その業務から即座に外されてしまう。

接客業であるか、高度技術職であるかは問題にならない。

クレームの内容が真実かどうかはどうでもいい。使用者にとっては、従業員の誰かが顧客に悪感情を持たれていることだけで、業務から外すのに十分であるらしい。

ところが、使用者が聞く耳もたないクレームもある。

  1. 支払いに現金しか使えないのは不便だ。なんとかしてくれ。
  2. 定休日が土日なのは不便だ。週末に営業してくれ。
  3. 店内で流れる放送がやかましい。静かにしてくれ。
  4. 入院患者に箸とスプーンとコップを用意させるのはなぜなのか。他の食器は食事についているんだから、箸スプーンコップもつけていいじゃないか。
  5. 職員がナースコールのボタンをベッドに設置するのを忘れていたため、術後に鎮痛薬を出してもらいたくても、朝まで誰も来てくれず、一晩苦しんだ。

こういう要求はほとんど無視される。4と5は私が入院したときの苦情である。4は投書箱に入れ、5は病院長あてに手紙まで出したのに、何の返事もない。

使用者が敏感なクレームとは、「職員の接客に関するクレーム」である。

使用者が鈍感なクレームとは、事業所の業務自体を変更する必要があったり(1と2と4)、店内環境に関する問題であったり(3)する。

5が完全に無視されたのはどうしてなのか、未だにわからない。この件は身体的苦痛がひどかったので、いまだに恨んでる。