「犬に噛まれて賠償請求するのはけしからん、謝れ」

クレーム対応にあたり、非のない部下を謝らせて丸く収める手法の終焉 - 弁護士 師子角允彬のブログ

労働法を専門とする獅子角弁護士のブログ。

「顧客から苦情を言われたら理非を問わず謝罪させる」

という手法が取られることがあるが、それも度を超すと不法行為であり、民事賠償になるという話。

 平成24年8月26日、地域防災訓練の会場に向かう途中、原告教諭は自身が担任を務める学級に属する女子児童の家に立ち寄りました。

 その際、児童宅の庭で飼育されていた甲斐犬に噛まれ、右膝部と右下腿部に加療2週間の怪我を負いました。

 その後、原告が犬の飼い主である児童の保護者に損害賠償に関する話をしたところ、児童の父・祖父から「地域の人に教師が損害賠償を求めるのは何事か」などと学校にクレームが持ち込まれました。

公務中に立ち寄っった生徒宅で飼われていた犬に噛まれた教諭が、損害賠償を請求したら、逆ギレした生徒の家族から学校にクレームが持ち込まれ、「ソファから降りて、膝をついて、生徒の家族に謝らせられた」ことが、パワーハラスメントに該当するという事件。

しかも、損害賠償請求といっても、教諭が求めたのは、「損害賠償保険に加入しているなら、それで支払ってほしい」という穏便な主張でしかない。

学校教諭は生徒宅で何があろうと耐えねばならないのだろうか?

 管理職には、クレームの勢いに気圧されることなく、正当なクレームと理不尽なクレームを冷静に仕分けし、場合に即した適切な対応をとることが求められます。