30年も前、私がまだ高校生だった頃、家庭で「盗聴」が問題になった。
祖母（姑）と母（嫁）はそもそも仲が悪かったのだが、あるとき、祖母が、母との会話を録音して、それを祖父（舅）にきかせて、
「うちの嫁はこんなにひどいことを言う」
と言いつけたことがあった。
母は激怒した。これをきっかけに、祖父母と父母は別居することになった。
私は大いに迷惑だった。母が自分の鬱憤を正当化しようとして、自分に同調を求めたからだ。
母がしつこく、
「人の会話を勝手に録音するのって犯罪じゃないの？警察に通報したら逮捕されないの？」
と聞くので、自分なりに調べて、
「会話を録音するだけなら罪にならない。その内容を使って脅迫したり、広く公開して名誉を傷つけたら罪だけど」
と回答したら、母は受け入れなくて、自分まで非難された。祖母を支持するかどうかとは関係なくて、祖母の行為が罪にならないことは確かなんだよ。
盗聴の犯罪性とメリット。盗聴は普段の会話でも犯罪なんですか? - 弁護士ドットコム
相手に知らせずに会話を録音することは、バレた場合は信頼関係を壊し、感情を害することは確かなのだが、最初から信頼関係がないなら、どうということはない。
問題は、母の頭の悪さだった。
「自分のとって不愉快なことは犯罪にきまっている。それを罪でないと言う人間は自分を非難している」
という短絡思考は矯正しようがない。
不愉快かどうかと、犯罪かどうかとは独立した問題だし、不愉快な事実を母に告げるのは、母を非難するためではない。
