青木雄二(故人)の初連載作品にして最後の作品となったナニ金は、緻密な実務描写で、マンガ界に衝撃をもたらした。
それまでのマンガに登場する街金(消費者金融)といえば、 債務者の前で、金を返せと喚く存在でしかなかった。マンガ家も読者も、借金の貸付と回収とは何かということがわかっていなかった。
債権は法で保護されているし、回収のためには、裁判所による強制執行が最終手段なのだが、裁判所を使うと時間と費用がかかるし、債務者には逃げられることがあるので、街金は別の回収手段を使う。
担保である。
担保は、不動産のような物的担保のこともあるし、連帯保証人のような人的担保のこともある。
ナニ金の作中では、街金屋たちは、担保権の行使を脅しとして使いながら、債権を現金で回収していく。担保権を実際に使うのは下策なのだ。
「闇金ウシジマくん」は、ただ暴力と脅迫ばかり使っていて、頭脳戦の要素が少なくて、おもしろくなかった。