「5年間逃げたら、借金チャラ」は事実だが、それだけの価値があるのか?

ナニワ金融道」に何度も出てくる「借金取りから逃げて行方くらませて、時効になるまで逃げ切る」という解決(?)方法がある。

債権にもよるが、消費者金融から借りたら5年だ。

しかし、5年も本業から離れて生活していたら、その間の逸失所得は相当なものになる。それまで、500万円稼げていた人が、短期バイトしかできなくなったら200万円になってしまうかもしれない。5年間の逸失所得を積み上げたら、1000万円ぐらいは簡単に超えてしまう。それだけ多くの借金をする以前に、大抵の人は金のやりくりができなくて破綻している。

ふつうの人は、夜逃げなどせず、裁判所に破産を申し立てて、債権の整理をしてもらうのが、もっとも有利なのだ。

しかしながら、暴力金融はそんなことはおかいまいなしで取り立てるだろうし、親戚や友人からの借金まで棒引きにしたら、人間関係は破綻してしまうだろう。

会社から横領したり、人から詐欺を働いた場合は、もちろん、破産では免責されない。

「夜逃げ」に意味があるのは、違法金融から金を借りたり、自分の人間関係を担保にして金を借りたり、犯罪にかかわった人だけなのだ。

ナニワ金融道」に登場する帝国金融は、登録をしている正規の金融業者だから、行き詰まれば、破産ですべてチャラである。
以下に引用した漫画のコマで、主人公灰原達之が老夫婦に夜逃げをさせようとしている理由は、彼が手口を教えて、ある種の詐欺をやらせてしまって、この人たちが捕まると、帝国金融までが共犯者として挙げられる可能性が出てきたからなのだ。

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青木雄二 ナニワ金融道