我が青春のビデオデッキ VHS Hi-Fi

VHSは規格策定当初から標準で2時間記録だったので、固定ヘッド記録の音声品質は悪くはなかったのだが、ヘッドと記録媒体との相対速度はカセットテープより遅く、オーディオ機器に接続して聞くには十分な音質ではなかった。

そのため、VHSでも、規格を変更し、ドラム上の回転ヘッドで映像信号トラックに音声信号を重ねて記録すること(Hi-Fi化)が行われたのだが、方式がβとは微妙に違っていた。

VHSでは、音声記録用の回転ヘッドをドラム上に1対増設し、水平磁化方向を映像と音声とで変化させることで、記録周波数が重複していても、クロストークを減らすことに成功した(アジマス効果)。

よって、VHSHi-Fiでは、記録帯域幅は同じだから、βHi-Fiのような映像品質の劣化はない。その代わり、ヘッド数が増えたことにより、トラッキング調整が複雑化した。トラッキング調整が自動化されるまでは、記録再生の互換性が低下し、他社のビデオデッキで録画したテープを別のビデオデッキで再生できないことがあった。