Hi-Fi化による映像品質の劣化を補償する意味があったとはいえ、ハイバンドベータはAVマニアには大きくアピールした。
よって、VHS陣営でも、ハイバンドベータへ対抗するために、何らかの画質向上策が求められた。
それがHQ VHSである。
1. ホワイトクリップレベル20%アップ
2. ディティールエンハンサにより細かな部分の再現性の向上
3. 輝度バーチカル回路により輝度S/Nの向上
4. カラーバーチカル回路によるカラーS/Nの向上
以上のうち1は必須で、2、3、4のどれか一つを採用していれば、HQ VHSと呼称することができた。
信号処理で高画質に見せようという姑息的な規格だが、ないよりはましだった。とくに、3と4は、クシ型フィルタとして以前からあった技術だが、半導体素子の価格が高くて採用できなかった。80年代後半になり、半導体素子の価格が低下したために、家庭用VTRで採用可能になった。