「屋上屋を架す」仕事にどれだけ金を使えるのか?

昔、ワンマン運転という言葉があった。

かつて、乗り合いバスや鉄道はワンマンではなかったのだ。後部に助手が乗っていて、乗客の乗降介助や料金徴収や機関士をやっていた。

料金徴収はともかく、乗客の乗降の確認や介助には人手があった方がいいことは今も変わらない。

旅客機も、かつては操縦席には、パイロット2人と航空機関士がいた。3人体制だったのだ。1985年に墜落事故をおこした日航123便には、まだ航空機関士が乗っていた。

今の旅客機に航空機関士は乗っていない。どれだけ巨大な旅客機でも、運航乗務員は2人だけである。機体が不調なときは、航空機関士がいた方が、パイロットたちも心強かっただろうが、制御の自動化により不要になったとして、航空機関士は廃止された。

このように、細かいリスクには目をつぶって、トータルコストを削減するということが、ごく普通に起きるし、必要なことである。

薬剤師とは、バスや鉄道における助手(機関士)、航空機における航空機関士のようなものである。

いたほうが、わずかなリスクを拾える可能性がある。しかし、そのリスクを定量化したら、薬剤師を雇うコストに見合わないのではないか?

この疑念は、医療の電子化が進むに従って、ますます、強くなってきている。

一部の薬科大学教員たちは、専門性を薬剤師に付与することで、存在意義を見いだせるのではないかと考えていたらしいが、空想で終わった。TDMの計算、DI活動。どれも医師が自分でできる。調剤も、6年もかけて教えるような技術ではない。