予防接種を増やすには、学校集団接種の復活が必要

しかし、予防接種を看護師単独や薬剤師単独でやらせるべきという話は、接種率向上とは関係がない。
予防接種実施率が低迷している原因は、医師不足ではない。一連の予防接種訴訟の判決に従い、学校集団接種ができないためだ。
代表例が、東京高裁平成四年判決で、学校集団接種で、医師が十分な予審を尽くせなかったので、予防接種事故が起きたと判示している。
予防接種裁判以来、学校集団接種が禁止された。
東京高裁平成四年判決は、予防接種事故の補償を国に命じるために考えられた無理筋の理屈なので、補償制度を整備した上で、学校集団接種を復活させるべきだ。
現状だと、予防接種法による被害救済は、A類疾病定期接種の死亡一時金は4300万円なのに対して、インフルエンザ(老人のみ)と肺炎球菌(老人のみ)などB類疾病定期予防接種は710万円でしかない。
こどもや成人が注射するインフルエンザワクチンは任意接種なので、それらにも該当せず、

による救済制度があるのみです。死亡一時金はたったの200万円。

もちろん、これだけでは終わらず、予防接種を行った病院診療所医師に過失があれば、医療事故賠償が行われますが、予防接種に限らず、医療行為には「過失がなくても事故がある」のです。

これどうするのか。

予防接種事故の無過失救済補償金を引き上げた上で、学校集団接種を復活させるしかない。