助産師はいらない

看護師は、高卒後専門学校に3年通うと国家試験を受験できて免許が取れる。

その他に、高校看護科を終了し、2年の継続教育を受けた後で取ることもできるし、大学4年課程で取る場合もある。

専門学校3年と大学4年ではどこが違うのだろうか?

保健師助産師看護師法(以降、保助看法)という法律により、現在、保健師助産師は看護師の上位資格である。

だから、看護師が何かプレミア的な資格がほしいと思ったら、保健師助産師を取ることが多い。

専門学校3年卒だと、保健師助産師になりたい場合は、看護師免許取得後に、さらに、学校に1年通う必要があるが、大学4年卒だと、看護師と同時に、保健師助産師(どちらか一方)を取れるという点が違う。どちらも取らない学生も多い。

ここでは、とくに助産師について述べたい。

保助看法にはこう書いてある。

第三条 この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
第三十条 助産師でない者は、第三条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)の規定に基づいて行う場合は、この限りでない。

第三条が指す行為を「助産行為」と業界では呼ぶのだが、具体的に何なのだろうか。

以下の事例が参考になる。

https://www.e-kango.net/safetynet/law/page32.html

愛知県豊橋市産婦人科診療所、横浜市内のH病院において看護師に内診を行わせていたことが、刑事事件として捜査対象になったこのことは、マスコミでも大々的に取り上げられ、社会的関心を集めた。いずれの事案も、刑事処分は起訴猶予として終了している。

厚生労働省は、2002年11月14日付け都道府県への通知の中で、内診が医師や助産師しかできない助産行為に含まれると定義し、さらに2004年9月13日付け厚生労働省医政局看護課長通知でも、医師の指示があっても看護師は内診をしてはならないとの見解を示していた。この通知を前提にすれば、看護師らによる内診が保助看法30条に違反する無資格助産に該当することになるが、この通知は一つの行政見解を示したにすぎず、法的拘束力を有するものかは評価の分かれるところである。

 行政見解であって、最終決着はついていないのであるが、「内診」(女性器内部を触診すること)が助産行為であるとは言えそうである。

では、お産を取り扱う産婦人科クリニックや病院は、実際に内診をすべて医師と助産師のみにやらせているのだろうか。あるいは、内診を産婦人科医だけにやらせても、業務が回っているのだろうか。

この答えは、以下にある。
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/activities/kaiho/kaiho_data/2007/200702/pdf/054.pdf

時に長時間に渡る分娩経過で随時に頻回に行なうことがあるため、産科病棟内医療従事者が誰でもいつでも実施可能という条件が必要です。ちょうど重症患者の血圧測定のようなもので、医師でなければいけないとかICU看護師だけとかいっていられないものです。 

助産師ではない看護師が、医師の指示の下で、内診をやっているのである。 

助産師は、自宅分娩の介助か、あるいは助産所を開設するための資格だった。しかし、自宅分娩でも助産所分娩でも、助産師が取り扱っていいのは「正常分娩」なのであって、異状が生じた場合は、すぐに産婦人科医に連絡して指示をもらうことになっている。

しかし、正常分娩なら無関与で無報酬、異状事態にだけ相談に乗り、救急搬送も受け入れるというような、助産師側に一方的に有利な契約を受け入れる産婦人科医など希少だから、助産所は減る一方である。助産所や自宅で出産する産婦は、毎年1万人、割合にして1%なのだ。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101822.pdf

もはや、助産師は不要な資格なのであり、その存在意義は、大学看護学科が学生を集める餌(ニセの餌だから毛ばりか?)でしかない。資格自体を廃止すべきだろう。

また、大学看護学科の希望者全員が助産師を取れるということもない。実習受け入れ人数の制限のために、専攻課程に定員がある。選抜試験があるのだ。

これだけ余計に手間と時間をかけて助産師になっても、その所得は、看護師と大差ないのである。