雇用関係における無法状態

雇用問題では、規制強化して労働者保護をすべきだという意見、規制緩和して、労働者の流動性を高めるべきだという意見があるが、もっと重要な問題がある。

既存の法律や契約が守られないことだ。

雇用関係には、すでに多くのルールがある。

よく知られているのが、解雇予告である。

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

ここの規定すら、実際には守られないことがある。

労基署通報や裁判によって実現できる権利すら、被用者は裁判費用や手間あるいは無知のために要求しないことがある。

既存のルールが守られていないのに、ルール変更などしても意味がない。

現状は、警察による交通違反取締が行われず、道路が無法状態になっているのに、道交法改正を議論しているようなものだ。まず、既存のルール違反の取締を厳しく行わねばならない。