医師は今後も高所得であり続けるし、その是正は困難である

医師が勤務医も開業医も行政職も、すべて高所得であることは周知の事実である。

行政職は、職種や職階によっては1000万円を切ってしまうことがあるが、それでも、日本人の平均と比較したら高所得だろう。

本論は、医師の高所得は民営医療と医療費抑制政策の組み合わせで生じたバグであり、医療制度を大幅に変更しなければ是正できない以上、今後も続くということである。

  1. 日本の医療機関は民営である。
    【病院数】開設者別構成割合

    https://www.dr-10.com/careermagazine/income/mk-004/

  2. 医療費抑制は、医師数制限で行われる。

    https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290406/shiryou1_2.pdf

 

医師は医療行為の内容を決定する権限を持っているので、勤務あるいは経営する医療機関が経営危機となった場合、売上を増やすために、医療行為を増やしてしまう。 

定期診療でただ薬を出しているだけであっても、1ヶ月処方を2週間処方に短縮してしまって、月2回外来に来させるということがある。心電図やレントゲンや血液検査や尿の検査を頻繁にするなどが考えられる。

実際に、こんな対応が、病院長指示の下で、県立病院で行われたことがある。公立病院であっても、独立採算を求められるために、利益を追求せざるをえない。

医師数を抑制すれば、医師の労力の限界により、医療行為は抑制され、医療費も抑制される。

民営医療機関を買収して公営化し、公営医療機関にも採算重視を強く要求せず、医師はすべて公務員にして、売上が増えても減っても賃金は変化しないということにしたら、あるいは、医師の所得は低下するかもしれない。

現状ではほぼ不可能な改革だ。民営医療機関を買収する金すら、政府は用意できないだろう。