薬学研究は理学部や農学部でも可能

私はそもそも科学者になるつもりで薬学部に進学した人間なので、他人の情報能力を云々できる立場ではないのだが、それはそれとして。*1

 1994年の時点で、東大の薬学部教員たちは、

「進学振り分けが終わったからといって、チンタラやっていたら、君たちは薬剤師にしかなれない。薬剤師はすでに終わった職業で未来はない。大学院に進学して、博士を取って、研究者になるしか、君たちの生き残る道はないぞ」

と学生に活を入れていたのだが、その後どうなっただろうか。 

いわゆる「薬学」とは、実は薬学部以外でも研究が可能だし、実際に研究されている。医薬品研究がやりたければ、国公立理系学部に入学すればいいのだ。薬学部に入学する必要はない。

薬学部卒でないとなれないのは薬剤師だけである。

駒場の語学クラスから私と一緒だった同級生の多くが、東大大学院を出て、新設薬科大学教員となった。しかし、大学で教えていることは高校化学だそうだ。底辺大学では、大学生に、モルとか分子量とかpH計算を教えねばならない。

大学院卒の研究者が薬学部教員になるのは、音大卒で海外留学までした音楽家が、小学校や中学校の音楽科教員になるようなものである。

*1:東京大学薬学部の学生は、将来は科学者になるつもりで、駒場から進学する。だから、薬剤師資格にはほとんど興味がない。