法学部教授によるロースクール開設から現在に至る事情の説明。
政府には建前があり、関係者は事実を語ることができないということがあり、法曹改革については成書も刊行されてはいるが、これも様々な立場からの各論の束で、要約することが難しい。
その点で、こういう要約は役に立つ。
私が間近にみた薬学部6年制への改組の経緯も、誰も知らないままで忘れ去られると思われたので、ここに書いてみたい。
まず、
「先進国の薬剤師養成課程がすべて6年制だから、日本もそれに習うべき」
という欧米追従論があった。主に薬剤師たちが主張していた。
愚劣な主張だ。
国によって医療制度は異なっていて、日本でいう薬剤師と、米国のPharmacistが同じ職種ではないし、同じである必要もない。
法曹養成論議でも、弁護士と米国のLawyerとは全く違う職種なのに、両者の養成制度は同じでないといけないとか、Lawyerと比較して、日本は弁護士数が足らないという主張が90年代にあった。
他方、薬学部6年制に対する反論として、
「日本の薬学部は薬剤師養成のためにのみあるのではない。科学研究者養成のためにもあるのだ。6年制にした場合、大学院入学者は減少し、薬学部が担っていた科学者養成機能や研究機能は失われる」
があった。主に国公立大学薬学部で主張された。
両者の折衷として、薬学部は、2006年から、
科学者養成コース 学部4年 大学院2年ないし5年
薬剤師養成コース 学部6年
とに分割された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AD%A6%E9%83%A8
科学者養成学科として薬学部を再定義すると、薬学部は農学部理学部工学部などと競争しなくてはならならないが、規模が小さいために、教員も設備も乏しく、教育水準は低く、かつ、学生募集が困難となっている。
また、薬剤師養成コースは、6年になったために、特に私立では学費総額が1200万円にもなった。教育投資を回収することは困難になり、薬剤師免許の取得は、生計の手段ではなくて、金持ちの息子や娘の道楽となってしまった。
私は、そもそも、薬剤師養成学科は不要であり、試験だけで、薬剤師免許を与えるべきだと追う。免許取得後に、若干の初期研修を義務づければ良い。
それが一番金がかからず、薬剤師の水準を保てるからだ。
また、薬学部は不要である。理由は説明不要だろう。