薬学系研究科大学院生時代に、どうしても我慢ができなかったのは、
「自分が、今、やっていることが、自分のキャリヤとどう関係するのか」
がさっぱり見えなかったことだ。
自分にはなりたい科学者像が特になかったし、研究したい分野があるのでもなかった。単に、自分は科学者にならざるをえないとボンヤリと感じていた。
その程度のモチベーションで、毎日、10時間以上を研究に捧げることは不可能だ。
すぐに私はラボに行かなくなった。
教授から与えられたテーマを論文に仕上げることに、まったく納得していなかったからだ。
与えられたタスクをこなすと、自分のキャリヤがどうなるのかがよくわからない。何もしないよりはマシであるという程度のことでしかない。自分は当該分野の研究には何の興味も感じなかった。
後から考えれば、論文を書き上げるプロセスを学ぶことに意味があったと思う。論文作成ノウハウには汎用性があり、後でなにか役立つ可能性があった。
しかし、私はその時点で24歳だった。24年も無駄飯を食う生活をしてきていた。これから、あと何年、下積み生活をしたら、自分でお金を稼げる人になれるんだろう。今後、自分の進むべき方向すら、まったくわからなかった。
もう、待てない。
だから、大学院を辞めた。