大学院生の頃(6)

私は大学院に入学しながらも、ラボで指示された研究をすることを拒否して、しかし、中退せず、そのままずるずると在籍を続けて時間と金を無駄にした。

後から考えたらこんな愚かな行動もないのだが、その時にはどうしたらいいのかわからなかった。

私に必要だったのは「相談」だっただろう。

話をしているうちに、思考が整理されてくるということがある。

しかし、当時、相談する相手がいなかった。

大学内には学生相談室が開設されていたのだから、そこに行けば良かったのだが、自分が対象者だとは思わなかった。

必要なサービスが用意されていても、対象者が自分の判断では利用できないということは、確かにある。

だから、私は生活保護水準以下で貧窮に苦しむ人を笑う気になれない。生活保護を受ければすぐに解決するのだが、本人は思いつかないのだ。