漫画「冬物語」の解説はここ。
総人口の8割を占める「できないクン」の体験や気分をみごとに描写したことがヒットの要因です。
自分がこの漫画読んでいて印象に残ったのは、主人公、森川光(もりかわひかる)が、自分ができない理由に、いつまでも気づかないことでした。
生まれも育ちも大差ない、他の登場人物と比較して、どうしてこんなに学力試験の結果が悪いのかは、解明されない。教室に座ってる時間を延長したら、追いつけると思っている。
格好つけて言えば、教室に座ってる時間と学力との関係が線型だと思っているわけである。
高校を卒業するまで、12年間も一斉授業を受けていて、それでできないんだから、同じことを予備校でさらに1年延長しても、大差ないんじゃないかということに、誰一人気づかない。
いや、気づきたくないんでしょう。頭を動かさず、教室にただ座ってる方が楽だからです。
90年代までの塾や予備校がやっていた一斉授業方式が廃れて、個別指導に切り替わったことは、たいへんな進歩だと思います。あの頃の予備校には、教育能力なんてなくて、浪人生に居場所を提供する役割しかなかった。
しかし、個別指導は、大学のゼミと同様で、しんどい。座って一斉授業を受けていれば、格差は表面化しないが、個別に指導されると、わかってないことがバレてしまうからです。