建物の耐震性向上こそ地震対策の王道

阪神・淡路大震災 - Wikipedia

阪神淡路震災において目立ったのは、倒壊した建物における圧死の多さだった。

NHKによる死体検案書の分析によると、地震当日に死亡した5036人の76%に当たる3842人は地震から1時間以内に死亡しており、このうちの9割が圧迫死(圧死、窒息死など)だった[22]。多くは木造家屋が倒壊し、家屋の下敷きになって即死したとみられる。特に1階で就寝中に圧死した人が多かった。

2階建て木造住宅の場合、「(屋根瓦と2階の重みで)1階の柱が折れて潰れるケース」が多かったが、建物が倒壊しても2階の場合は生存のスペースが残りやすく、死者は少なかった。

死者の90% 程度は圧死とされている[23]。また、死亡に至るまでの時間も短かった。遺体を検案した監察医のまとめでは、神戸市内の死者約2456人のうち、建物倒壊から約15分後までに亡くなった人が2221人と92%にも上り、圧死・窒息死で「即死」した人が大半を占めた[24]。サンデー毎日による調査では、分析対象とした247人のうち、47人が建物の下敷きになる一方、家具の下敷きは2人のみだった[25]。

 震災後、24年目になっても、老朽木造建築の耐震化は進んでいない。所有者の費用負担が大きいためである。

とはいえ、このような議論ができるのは、厳寒の中、ライフラインが壊滅している被災地に、日頃の仕事を休んでかけつけ、不眠不休で数千人の死体検案をしてくださった法医学者たちの苦労があったからである。

死亡診断、死体検案こそが、災害対策や医療政策の基本資料なのであり、これを簡略化、低コスト化しようという主張には断固として反対したい。