救急車を呼ばずに医師を呼んでも警察届け出となる場合

救急車を呼ぶ前に | クリニック便り | うはらクリニック

たとえば、持病もなく元気で暮らしていた人が急に苦しみだした場合。皆さん迷わず119番で救急車を呼ばれるでしょう。実は3年前に私の母親が風呂で倒れたとき、まだ息があったのですが、あわてた父は110番をして警察を呼んでしまいました。駆けつけた警察が救急車を呼ぶことになって救急処置が間に合いませんでした。母の死後に遺体は解剖され、父親は悔やんでおりました。

このケースだと、主治医がいないのだから、医師を呼んでも異状死として警察届け出が必要です。救急車を呼んでも呼ばなくても結果は同じです。(日頃から診療しているのではない)医師が来たら死亡診断書を書いてくれたというのなら、それは医師法21条違反ということになる。

異状死の定義については、法医学会と日本医師会とが対立しているが、日本医師会だって、犯罪の疑いがあるときは異状死届け出をすることに異論はない。

持病がない人が、風呂で倒れて亡くなったケースで、医師が死体の外表面だけを見て、犯罪性がないなどと判断したら、やりすぎでしょう。それは警察にしか判断ができない。

警察は死因不明死体を発見したら、いきなり解剖に回すのではなくて、現場の状況、家族関係を聞き取り、必要があれば、情報収集手段の一つとして解剖をするのです。

近親の遺体が解剖されるのは嫌だという感情は直ちに否定はできないが、社会性動物である人の場合、生死病死すべてが社会的な行為なので、遺体解剖も拒絶できない場合があります。