よくある誤解:医師は患者に薬を出すと儲かる

「医師は薬を処方すると儲かる」となんとなく思われている。

外来と入院では全く違うし、外来でも院内調剤と院外調剤では全く違う。

多くの人が関係する外来に関してのみ述べる。

医師が薬を処方する(処方せんを書く)と、68点の保険点数がつく。医業収入としては680円である。しかし、薬を大量に処方しても、少量処方しても、保険点数は同じだ。細かい特例はあるが、経営に影響が出るほどではない。 

院内調剤で薬を出す場合でも、薬価差益(仕入れと売値との差)があった時代は昔で、今は仕入れしだいでは差損になっていることがある。

では、医師はなぜ患者に薬を出すのかといえば、薬を出すと、患者が満足するからです。それだけの理由でしかない。

治療のために薬を出すというのは口実であり、より根本的な理由は、患者を満足させるためです。だから、治療には不要な薬でも処方されることがあるし、必要な薬も処方されないことがある

医学的正当性と患者満足とが両立しない場合も当然ありますが、それについては、

「…と助言したが、患者は聞き入れなかった」

とカルテに記載されます。