患者に迎合すると、抗菌薬治療は低用量長期投与となる

抗菌薬治療において、標準的なテキストやガイドラインと比較して、臨床で実際に選択される処方は、低用量長期投与である。

本来、こういう治療は好ましくない。耐性菌が選択され、肝酵素が誘導され、有害作用が起こりやすいからだ。

最低作用量よりも低用量の抗菌薬投与に意味があるのは、たとえば、びまん性汎細気管支炎に対するマクロライド療法だけれど、これは抗菌活性ではなくて、抗炎症活性に意味があるとされる。

しかし、処方する医師の心中を考えると、低用量長期投与にも意味がある。

長期投与すると患者が感謝するからだ。

この結果、外来診療では、ほとんどなんの効果もない抗菌薬が乱用される。

適切な抗菌薬使用を望むならば、病院診療所を公営にして、役所のようなものにしてほしい。患者の気分よりも、エビデンスに忠実な診療は、民間医療機関では無理である。