「説明と同意」がなければお看取り

医学教育、医療倫理の世界では、「説明と同意」は無条件に良いことだとされていて、実際に、過剰なほどの「説明と同意」が医療、介護、福祉分野では行われている。

ところが、「説明と同意」の費用問題については、誰もまじめに検討していない。

関係者を集めて説明し、同意してもらい、記録をとる作業の費用が、終末期医療の費用の大半を占めている。実質的に何もしていないのに、ただ話をするだけのことに費用がかかっているのだ。

また、救急医療が無駄に使われている理由も、「説明と同意」が過剰なせいである。施設や自宅で介護されている終末期老人とその家族に、「説明と同意」など求めても不可能で、結局は、最後に救急搬送される。デフォルトが救急搬送で、オプションがお看取りだ。

治療を委任した時点で、包括的に「説明と同意」をしたことにした方がいい。「説明と同意」は、家族が求めてきた時点でやればよく、何も言わなければ、訪問クリニックや医療介護施設側の方針で世話すればいいだろう。