世界がすべて悪い方向に進んでいるのではない

レッドサン ブラッククロス〈6〉―インディアン・ストライク (徳間文庫)

世の中がすべて悪い方向に進んでるのではないのだ(河野軍曹)

 新兵の訓練をしている鬼軍曹が、自分のころと比較して、今の訓練はずっとマシになっていると回想する場面。

ドイツがWW2に勝利し、欧州の支配者となった架空世界で、WW3が始まり、日独の全面戦争が始まっている。若者は片っ端から徴兵され、ろくな訓練もなしで戦地に送られる。

そんな絶望的な状況でも、以前と比較していくらかの改善があった。兵隊向きの人材が払底している状況では、昔の日本陸軍のような「しごき」はできなくなり、新兵を大切に扱うようになっていた。

そうなのだ。

どんなに絶望的な状況でも、世界が進歩しないわけではない。人々に改善の志がある限り、進歩があり、文明は発展していくものだ。