単純な医療面接(いわゆる問診)であっても、患者が腹を立てるケースはある。
今になっても疑問が解けないケースがある。
初期研修中に、小児科において、就学前児童が、肺炎で入院してきたことがある。
私は指導医に、
「簡単に診察して、カルテ書いて、本人と家族を病棟につれてきてくれ」
と指示されたので、そのとおりにした。
診察といっても、聴診をして喉を見ただけだ。これはどの医師がやっても同じである。
そのまま病棟の処置室に子供を入れて、後は看護師たちと一緒に採血したりしていた。
ところが、外から別の医師が「親が相当怒っているから謝った方がいい」と耳打ちしてきた。
目の前の採血の方が重要だったので、そちらを優先して、レントゲン撮影もして、入院手続きをしていたら、指導医が親と面談してきて、自分に言う。
「君は担当につけないでくれと言われたが、それじゃ研修にならないので、自分と一緒に診察するということで許してもらった」
その後、この子が退院するまで、一体何がおきたのかわからなかった。もしも、怒っている理由を聞いたら、余計怒ったことだろう。